TPR(Total Physical Response)による英語指導法

鈴木 寿一(京都教育大学名誉教授・京都外国語大学大学院非常勤講師)

 

DVD『TPRによる英語指導法』の制作に携わっていただいた鈴木先生に、この指導法についてのお話をうかがいました。


TPRで学習意欲の改善、学習意欲の低下を防ぐ!

99%が英語嫌いのクラスが授業崩壊から立ち直った!

 

TPRの狙いは、毎時間、学習項目のターゲット項目というのがありますけど、それを語彙とか文法を含んだ文を聞かせて、体で動かして即時反応するまで高めていく、そのことによって学習項目の内在化をはかることです。

 

このTPRの特徴としては最初から発話をさせないで、しっかり聞いて理解する、そういう力を伸ばす、この方が最初から英語を真似させたり、あるいは発音を求めたりするよりも、リスニングの能力だけでなく、他の三技能の力も伸びるということが、1960年代から70年代にかけてたくさん研究がありました。

これをうまく活用しますと、中学高校、そして大学と進んでいった時に、自分の考えを自分の言葉で表現する、話したり書いたりすることができるようになり、また相手の言うこともしっかりと理解できる。そういう力をつけることができます。

 

また、他の指導法に比べて、学習意欲の改善、あるいは学習意欲の低下を防ぐということがわかっております。

 

TPRはどのような指導に使えるのでしょうか

 

今回のTPRのDVDは大きく分けますと、アルファベットの指導

小学校から文字指導が始まりますが、ここでも指導手順に従ってやっていただければスムーズな文字指導ができると思います。小学校の週に1回や2回での授業では、十分に文字をきちんと書けるようにはならなかった場合でも、それを中学校で再学習する時にもこの手法が使えます。

 

語彙指導も、動作や実物やあるいは絵や写真などを使いながら実際に体の動きや、あるいは意味のある作業をさせながら学習させていく、その手順も紹介しています。また、そういう具体的な単語だけではなくて、抽象語の指導の仕方も、このDVDでは紹介しております。

 

文法指導では中学レベルの文法項目だけではなくて、高等学校で学習する、例えば分詞構文のような、今までの指導では非常に難しかった項目もTPRを使えば生徒は難なく理解できる、そういう指導例も紹介しております。

 

また、DVDの後半ではリスニングだけではなくて他の技能、リスニングからリーディング、リスニングからスピーキング、リスニングからライティングへの橋渡しを行うための指導例も収録しています。

 

ぜひこのTPRを活用して、小中高の学習者に効果のある指導をしていただきたいなと思います。

 

TPRは小中高あらゆるレベルで使えるということでしょうかまた、例えば一度つまづいてしまった学生に、TPRを使ってもう一度英語の興味関心を取り戻したり力をつけていくことにも有効なのでしょうか。

 

はい、それは非常に有効です。

実は私が初めてTPRを実践したのが地域で一番下の学力レベルの高校だったんですが、中学校レベルの英語も身についていない、そういった生徒たち、もうほぼ99%の生徒が英語が嫌い、というそういう生徒たちを相手にTPRを実施したところ、それまで起こっていた授業崩壊から立ち直ることができたんです。

 

ですから、いわゆる中学や高校でつまづいた生徒たちでも、もう一度基本に戻って、具体的な場面状況の中で体を動かしながらTPRをやる、というのは英語の再学習にも有効です。


京都外国語大学教授・安木先生にも、TPRとはどんな指導法なのかをうかがいました。よろしければそちらもお読みください!

>>>「 TPRとは?」を読む

聞いてわかる、読んでわかるようになるために。

小学生や英語初学者以外にも有効とされるTPR。実際の言語使用場面に近い形で英語を身につけられるこの指導法を、ぜひ取り入れてみてください!

DVD『TPRによる英語指導法』はこちら ▼▼▼

 

また、TPRと関連性の深い指導法もあわせてご覧いただければ、より理解が深まります!

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各指導法の関連:「身体性を育てる小学校の英語指導」と「TPR」

 

日本語の氷山と英語の氷山のてっぺんを繋ぐだけの指導ではダメ!

 

元々TPRはどちらかというと年齢の低い子供向けのものだという先入観を持っている方が多かったかと思いますが、実際には中学高校でも、より高次な学習内容を扱うことができる…

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