ラウンド制指導法実践マニュアル【その実践について】

杉本 義美(京都外国語大学 英米語学科 教授)

 

DVD『ラウンド制指導法実践マニュアル』の制作に携わっていただいた杉本先生に、この指導法についてのお話をうかがいました。


自分の言葉でアウトプットができるような子供たちを育てる

 

中学校であれ高校であれ教科書をベースにして授業が進んでいくわけですけど、どうしても中学校の場合、文法指導が中心になってしまって、教科書の扱いが非常に粗末というか、ただ教科書は内容を読んで確認して音読しただけで終わっている。従来の指導ではそれがかなり多かったんですね。

 

ところが先ほどの話にもありましたように、教科書の中には今まで習った文法や語彙が何度もでてきて、しかもそれが適切な場面状況の中で使われているわけです。これをもっと活用しない手はないだろうと。

しかも現場の先生方のお話を聞いても「教科書の取り扱いがどうもうまくいかない」と。「どんな授業をしているんですか?」と聞くと

内容理解の質問を与えて、英語で質問して英語で内容を理解します。

また、日本語で質問して、日本語で概要を捉えて終わってます。

もっと言えば、読んで訳して終わってます、音読で終わってます、と。

でもこれだけでは、せっかくいい内容があっても、内容まできちっと深い理解まで深めてやれない。

 

今よくアクティブラーニングとかいう中で、子どもが主体的に、かつ対話的に、深い学びを実現してやるためにも、何度もしっかり聞いて読んで、しかもその表面上の理解だけではなくて、その述べられている内容から推測したり、そこから子どもがその内容についてどう考えていくかという、子ども自身が自分のことに関連しながらアウトプット活動までもっていってあげるのが教科書の良さだと思うんです。教科書教材を活用する素晴らしさだと思うんです。

そういうことを保証していくのがまさしくこのラウンド制です。

 

具体的にはどのようなことをするのでしょうか。

 

中学の場合、特に公立中学の場合は学力差が非常に出て来て、極端に言えば文字を見るも嫌な子、学習を投げ出してしまうような子もいるわけです。そういう子どもたちも含めて、全員の子に教えていかなければならない。

 

その時に最初、先生がどういうふうに子どもたちにモチベーションを持たせて授業に喰らいつかせていくかというと、ひとつはその授業のスキーマーの活性化ということで、オーラル・イントロダクション、オーラル・インタラクションで、これから何を読んでいくのか、というのを先生が子供とインタラクションをしながら、そこの読む内容についての動機付けを高めてやる。

それは絶対必要なことです。

 

その次にリスニング

文字を読むのが嫌な子でも、ここを繰り返しやれば、大まかな内容を子どもたちが理解できるようになります。そうするとどの子も参加できる、授業に参加できて、かつ動機も高めてやれる指導にありつけるわけです

 

それをきっかけにして、今度は文字を見てしっかりまた繰り返し、文字を見ながら指導者の読み聞かせを聞いてもらいながらリスニングとリーディングを結びつけていく活動をやっていって、内容をしっかり捉えさせたあとに、音読練習をして、最終的には更に深い理解を求めるような推論発問をしながら、子供達に深い学びを実現していく。

そして最終的には、子供たちがそれについてどう考えるかどう思うかということを自己表現できる場を与えてやる。

こういう流れを保証していくのがラウンド制指導です。

 

中学校版のラウンド制でも、今のところを意識して構成してあります。

決して難しいことではなく、どの先生方もDVDを見ていただければ、その手順を順番に真似ていただくことで、先生方が子供達に、主体的に、子どもたち同士が学びあいながら教科書の内容を理解していく、かつ、自分の言葉としてアウトプットができるような子供たちを育てていけるんじゃないかと思っております。

そういう意味でも、教科書の扱いで悩んでおられる先生方、是非このDVDを見ていただけたらと思っております。

 

 

リスニングから最終的にアウトプットまでいく中で様々な活動を行なっていきます。それは個人であったりグループであったりします。で、どんどん考えを深めながら最後の活動に持っていくのですね。

ラウンド制のそういう活動も、アクティブラーニングの1つだと考えていいでしょう。

新しい時代の指導法だと捉えて間違いないですね。

 

DVD『ラウンド制指導法実践マニュアル』はこちら ▼▼▼