5ラウンドシステム


5ラウンドシステム とは1年間に教科書を5回繰り返して使用する授業スタイル 5round イメージ図

 

横浜市立南高等学校附属中学校で生まれた、教科書を1年間で4~5回繰り返して学ぶ5ラウンドシステム

 

 

 弊社でもこの先進的な取り組みにいち早く着目し、授業の方法、仕組みやポイントなどを紹介したDVDをリリースしております。

今回は、この「5ラウンドシステム」に取り組まれて3年が経過した時点で、当時の横浜市立南高等学校附属中学校の先生方に伺ったお話を紹介します。

 

 

「聴く」「読む」「話す」ことに臆さない生徒が育つ

  • 西村 秀之・梶ヶ谷 朋恵・阿部 卓・山本 丁友(横浜市立南高等学校/附属中学校)

 

5ラウンド制はどのような経緯で生まれたのですか?

西村:教科書を通してのラウンドは行っていなかったのですが、以前の学校でも、生徒たちに何度か教材に触れさせたいと思い、3年生が1年生の教科書のリテリングをしたり、量をこなすためにも単元全部を音読したりしていました。何度も繰り返させる「漆塗り」の発想ですね。それをなんとか1年間の中で実現できないかということで、新設校に赴任することができたこともあって、やってみた、というのが経緯です。 

 

3年間行ってみて、その効果はいかがですか?

西村:聴くこと、読むこと、話すことに臆さない生徒が育ってきたと思います。やはり限られた、例えば教科書の半ページの学習を重ねてきた生徒ではなかなか見られなかったような運用能力がついたかなとと思っています。

 

生徒が自分の言葉で表現できるようになるのですか?

西村:このことはとても心配した部分でもありました。実際に教科書で使ったものがベースになっているのですが、暗記したものをそのまま発表しようとした生徒はいませんでした。実際に行ってみると、こちらの想定以上に生徒たちの力はすごいなって、逆に教えてもらったような感じです。

 

ラウンド制の有効性を感じたのはいつぐらいからですか?

梶ヶ谷:このやり方いいなと思ったのはかなり早く、1年の2~3Round目くらいからでした。まず何の説明もなくリスニングをやって、次に文字と音の一致をやり、やっと音読に入る…という段階あたりで、好きなものについて生徒とトークをしたりするのですが、生徒から出てくる英語が全く違うんですよね。急にペラペラと話せるようになるわけはないのですが、毎日やっている中でどんどん変わるなと。過去の成長度合いから比べても、変化のスピードが違うという感触があったので、そこにまず驚きました。

 

阿部先生は2年間、山本先生は初任で1年間、5ラウンド制の授業に取り組まれましたが、実際に行ってみていかがでしたか。

 

阿部:すごくいいなと思ったのは、同じパターンで活動するので、生徒が安心して活動できる点と、生徒自身が楽しんで活動できている点です。1年の終わりに英語が上達したと感じたという声も生徒から聞けたので、そういう成果も出ているのかなと思いますね。

西村先生や梶ヶ谷先生の授業を見て真似ることから始め、2年目からは自分の色を出すことができたかなと思っています

 

山本:この学校の実践は、自分が教わった時とは全く違ったもので驚きました。自分が教わってきた授業は、従来型の暗唱をしたり、単語のテストをしたり、訳したりすることに留まる授業でした。大学で第二言語習得の理論を勉強して、自分が教わった時の体験を合わせ、理論と実践をどう活かして授業を行えばいいのか考えたのですが、5ラウンド制の授業を見て、大胆ではありながら、理論と実践が一体化された授業だという印象を持ちました。

 

実際に授業をやってみて一番驚いたのが最後のラウンドのリテリングで、暗記に留まっていないことです。短い時間で教科書を一周二周することで、その単元だけの単語を生徒が発している訳ではなくて、他の単元の単語を使えそうだなと、場面場面で頭を使って、自分たちの言葉で話していますし、そこが自分が習ってきた時と決定的に違うところだと思いました。


 

各先生方のお話から共通してうかがえたのは、英語を使うことに対する生徒の積極性です。

まず音をインプットして、次に意味、そして文字…と同じ教科書を繰り返し使って段階的に情報を取り入れていくことで、生徒にはいい意味での「慣れ」が生まれ、「量」があっても徐々に「質」の高いインプットが出来ていきます。初めから音も意味も文法も…と何もかもを一度に正確にインプットするのではなく、繰り返すことで徐々に正確にしていくのです。

間違ってはいけない、という思いから英語への心理的ハードルが上がってしまっている人も多いと思いますが、最初から何もかもを正確に覚えさせるのではないこの学習法では、大量のインプットとアウトプットの場面を同じ教材で繰り返していくことによって、いつのまにか抵抗なく英語を使えるようになり、自分の言葉でアウトプットができるようになるといいます。

 

実際の導入には各学校によって課題も多いでしょうし、この横浜市立南高等学校附属中学校での実践例をすぐに取り入れることは難しいかもしれません。しかし、横浜市の一部や熊谷市など、5ラウンドシステムを導入して英検3級や準2級の合格率が全国平均と比べて大幅に上昇する等、目に見える成果を上げている事例がいくつも出てきています。

 

また、授業時間数が短かったり、1年間を通して行うことが難しい場合は、このシステムをベースにして、もっと短いスパンでの繰り返し学習モデルを構築した「サイクル学習」を実践している学校も参考にしてみてください。

 

四技能を高めることが求められている中、「使える英語」を学校教育の中で身につけさせることができる画期的な指導法です!

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