胡子 美由紀(えびす みゆき)
広島市立早稲田中学校
今回のインタビューは広島市立早稲田中学校 英語科教員の胡子美由紀先生。
インタビュー【1】では、教師になったきっかけや、実際の授業で行っている工夫などのお話を伺いました。
胡子先生が教師になろうと思ったきっかけは何ですか?
小学校4年生の時に母が私を英語教室に入れてくれたんですが、その時「英語って面白なぁ」と感じました。また同時に「何かを教えることができる人になりたいなぁ」と思い始めました。もともと、女性として男性に引けをとらない仕事がしたいと考えていたんですが「教師という仕事がそれを叶えてくれるものかなぁ」と思いました。
最終的に「英語の教師」に辿りついたのは、中学生の時に教えていただいた英語の先生の影響があります。とても素敵な先生で、きれいな英語を話されていました。当時ですから、あまりコミュニカティブな内容ではありませんでしたが、音読をはじめとても楽しい授業でした。
そのような先生との出会いもあり、中学か高校の英語教師になるために大学を目指して勉強するようになりました。
最初に教師になった時、どんなことを感じましたか?
初任校は、中規模の学校で決して落ち着いている学校ではありませんでした。
大学の時の模擬授業や授業見学、教育実習の経験はありましたが、実際、学校に勤務してみると想像していたものとのギャップはありました。
中学1年生は落ち着いていましたが、中学2年生はやんちゃな子どもたちが多く、その対応には苦慮しました。男の子だけでなく、女の子への対応も難しい面がありました。
『授業を行う上での10のルール』について
授業を行う上での10のルールを作った理由は?
英語の授業で、私が目指すコミュニケーション力をつけていくためには、『アイコンタクトをとること』、『相手の言ったことに対してリアクションをとること』、『笑顔で話すこと』などが必要です。笑顔で話さないと気持ちよくやり取りができないので、活動する時にはこのあたりを頑張ろうと、子供たちにはいつも言っていました。
ある時、ALT(外国語指導助手)が「いつも言うのなら、カードに書いて貼っておけばいい」と言ってくれました。そこで、注意点をカードに書いて貼っておくことにしたんです。今の学校に来てから『ジェスチャーをつけて話す』などの意見がでてきたりして、徐々にカードが増えていきました。
これは子供たちが安心して活動するために必要なもので、それをルールとして提示しました。最初は私が提示したものですが、後の部分は生徒たちと一緒に作っていったものです。
ルールは、それがあることによって秩序が保たれ、崩れると人間関係の崩壊にもつながります。英語は外国語ですので、日本語を話す時に比べてプレッシャーもあると思います。秩序が乱れてしまうと、英語で発表したりする時に、笑ったり馬鹿にしたりするようなことが起ってしまいます。
ですから、私は「これは絶対に譲らない10個、10ルール」として提示しているんです。子供たちもそのことを理解し頑張ってくれていると思っています。
10ルールの効果はありますか?
私自身はこれらのことは当たり前のことになっていますので、10のルールとして出す必要があるのかと思ったのですが、授業参観に来ていただいた先生方からは「大事なポイントをきちっと提示して、子供たちにも浸透させるのはたいへんなことなので、この10のルールがあることで子供たちが安心して活動できるのではないか」というご意見をいただいています。
また、気が弱くて学校に行きたくないといった生徒がいたのですが、英語の授業を通してだんだんと自信を持つことができるようになりました。10のルールがあったから、英語の時間以外でも安心して過ごすことができたのです。「高校に行ってもこれを忘れずに過ごしていきたい」と卒業時のメッセージに書いてくれましたが、そういう子が安心して活動できるために役立っているのならとても嬉しいですね。
多くの場合は、ルールを掲げても、教師自身が実行出来ていないことが多く見られます。
これは、改めて基本に戻るルールなのかなと思うんです。イングリッシュオンリーを前面に掲げている先生は、まだまだ少ないように思えます。
教師自身も頑張って英語で授業を進めることで、生徒も英語で話し、話せるようになるということにつながります。教師が英語で進めるためには、生徒がわかる語彙まで掘り下げていかなければなりませんし、教材研究も必要になってきますので、たいへんですけど、努力した分の効果は必ず期待できると思います。
(2015.7)
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※指導者・協力者等の所属は記事掲載時点のものです。